2018年08月26日

『五輪』が危ない(10):特許庁による商標法第4条1項6号の拡大解釈の検討経緯

 2018年7月5日付の北海道新聞で、
 IOCが『五輪』を商標登録出願しているとが報道され、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180705-00010000-doshin-spo
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/205886
 私のコメントも最後の3行にの載りました。

 IOCの出願商標『五輪』の商標登録の可能性については、
 少なくとも、
 商標法4条1項6号と商標法4条2項が関係しているのですが、

 商標法4条1項6号についての審査運用基準が、特許庁によって、
 商標審査基準第12版(平成28年4月1日)以降、
 拡大解釈されていることがわかりました。

 前回までで、出願商標『五輪』は、
 商標法4条1項6号の特許庁による拡大解釈によって、 
 特許庁の審査で以下の取扱いがなされうることを説明しました。

A.商標法4条1項6号の特許庁による拡大解釈が妥当である場合

(ケース1)『五輪』が商標法4条1項6号の「表示する標章」に含まれ、
  何人による出願商標『五輪』も登録されないことになるが、
  商標法4条2項も自動的に拡大解釈され、
  IOCは商標法4条1項6号の例外規定たる商標法4条2項が適用され、
  IOCの出願商標『五輪』には、商標法4条1項6号は適用されない。

(ケース2)『五輪』が商標法4条1項6号の「表示する標章」に含まれ、
  何人による出願商標『五輪』も登録されないことになるが、
  商標法4条2項は自動的に拡大解釈されず、 
  IOCの出願商標『五輪』には、商標法4条1項6号の例外規定たる
  商標法4条2項が適用されず、商標法4条1項6号により拒絶される。

B.商標法4条1項6号の特許庁による拡大解釈が不当である場合

  商標法4条1項6号の立法趣旨(権威尊重・国際信義上)の観点から、
  商標法4条1項6号の「表示する標章」に『五輪』を含めることは不当で、
  IOCの出願商標『五輪』には、
  商標法4条1項6号も商標法4条2項も適用されない。。

C.A(ケース1)及びBの場合

  IOCの出願商標『五輪』は、
  新聞記者の創作後80年間にわたり我国大衆が自由使用できるという
  商標使用秩序が形成されている状況下で、、
  商標法4条1項7号(公序良俗違反)が適用され拒絶される。

******

 今回は、
 特許庁が商標法第4条1項6号を拡大解釈するに至った経緯について、
 考えてみたいと思います。

《商標法4条1項6号と特許庁による拡大解釈》

 商標法4条1項6号は以下の通りです。

商標法第4条1項6号 
===============================
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、
    商標登録を受けることができない。
六 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、
  公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は
  公益に関する事業であつて営利を目的としないもの
  を表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標
===============================

 これを見通しのよい表現に書き換えると以下のようになります。

===============================
六 国・地方公共団体等、非営利公益団体、又は非営利公益事業
  を表示する標章であって著名なものと同一・類似の商標、
===============================

@特許庁は、
 非営利公益団体を「表示する標章」として『国際オリンピック委員会』、
 非営利公益事業として「国際オリンピック委員会が行う競技大会」、
 非営利公益事業を「表示する標章」として、
 「国際オリンピック委員会が行う競技大会」を「表示する標章」である
 『オリンピック』『OLIMPIC』を例示しています
 (ここまでは拡大解釈とはいえないと言ってよいでしょう。
  但し、国際オリンピック委員会は本当に非営利団体か、
  という点は検討の余地があるのですが、そこは議論しません)。

A特許庁は、商標審査基準第12版で以下の拡大解釈をしました。

 「国・地方公共団体等、非営利公益団体、又は非営利公益事業」
 を「表示する標章」に、
 「国・地方公共団体等、非営利公益団体、又は非営利公益事業」
 を「想起させる表示」を含めると拡大解釈し(拡大解釈T)、
 そして、
 「国際オリンピック委員会が行う競技大会」
 を「想起させる表示」に俗称『五輪』を含めると拡大解釈しました
 (拡大解釈U)。

 ******

 私は、上記の拡大解釈T及びUについて、
 何かとてつもなく巧妙な論理のすり替えがなされているようで
 大きな違和感を感じるわけです。

 商標制度は、
 あくまで商標法3条1、2項で規定される、
 識別力を有する商標を登録することが原則で、

 この原則に該当しても、例外として、
 公益性(社会秩序、権威尊重、国際信義等)・人格権尊重等の観点から、
 特定者に登録させることが望ましくない商標を、
 4条1項各号に限定列挙する、という建付けになっています。

 4条1項6号は、
 例外として登録しない商標自体である「表示する標章」は明確にし、
 当然にその商標自体である「表示する標章」は商標登録しないことにし、
 さらに、
 その商標自体である「表示する標章」と類似する商標も登録しない
 としています。 
 
 「表示する標章」の「類似範囲」まで登録しないという法趣旨と、
 「類似範囲」をどう基準づけるかを
 (例えば「表示する標章」である『オリンピック』の類似範囲に
  『五輪』が含まれるか否かを)議論すること
 については、私は問題がないと思います。

 しかし、「表示する標章」に「想起させる表示」を含めることで、
 「表示する標章」自体の範囲を拡大してしまうこと、それも、
 「想起させる」という曖昧な主観的要件を基準にして拡大することは、
 「表示する標章」自体の範囲が再現なく広がるおそれがあり、
 そうなると不明確になってしまった「表示する標章」に類似する範囲が
 さらに輪をかけて不明確になってしまします。

 そもそも「想起させる表示」には、
 「表示する標章」に類似する標章も多く含まれるでしょうから、
 4条1項6号の商標の範囲は、
  「表示する標章」に同一・類似+「想起させる表示」に同一・類似
 =「表示する標章」に同一・類似+
  「表示する標章に類似する標章」に同一・類似となりえ、
 「「表示する標章に類似する標章」に類似する標章」も含まれる
 ことになり、4条1項6号の商標の範囲が全くわからくなります。

 私には、徒に法律の範囲を不明確にしてしまう拡大解釈T及びUが
 妥当とは到底思えないわけです。

 ******

 今回の記事は、
 「表示する標章」についての上記Aの拡大解釈T及びUが、
 商標審査基準の改訂の際に特許庁でどう議論がなされていたかを、
 まとめてみました。

《特許庁による商標法第4条1項6号の拡大解釈の検討経緯》


経緯
 商標審査基準の改訂作業は、特許庁を管轄する経産省に設置された
 「産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会
  商標審査基準ワーキンググループ」で審議されます。

 商標審査基準第12版でなされた商標法4条1項6号についての審議は、
 以下のサイトによって辿ることができます。

(1)産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会商標審査基準ワーキンググループ
(2)第11回商標審査基準ワーキンググループ議事
(2-1)議事要旨
(2-2)委員名簿
(2-3)参考資料
資料1:商標審査基準の今後の検討事項とスケジュール(案)
資料3:国、地方公共団体等の著名な標章の審査基準について(案)
(2-4)議事録
(3)第12回商標審査基準ワーキンググループ議事
(3-1)議事要旨
(3-2)委員名簿
(3-3)議事録
(4)商標審査基準第12版に対するパブリック・コメント
(4-1)「商標審査基準」改訂案に対する意見募集の結果について
(4-2)「商標審査基準」改訂案に対する御意見の概要及び御意見に対する考え方について(項目別)

経緯の内容
■第11回WGでは、既に、最終内容に近い案が提示されており、
 上記拡大解釈T及びUもそのまま記載されています(資料3)。

■商標法4条1項6号の審査基準の見直しは、
 第11回WGでほぼ議論が尽くされています(議事録30〜41頁)。

■第11回WGの議論の概要は以下の通り(「⇒」の後は私のコメント)です。
 ・商標法第4条第1項第6号の「同一又は類似」は、
  同法第4条第1項第11号と同様ではなく、
  公益保護の観点からその範囲を広く解釈して運用されているため、
  基準改訂イメージの文言はそれに則したものに修正するべき。
  なお、公益保護が趣旨であるため、
  「出所の混同」の文字は削除した方が良い。

 ・商標法第4条第1項第6号の「著名」の解釈については、
  公益保護の観点から、
  全国的な需要者の間に認識されるにまで至っている必要はない
  という方向性はよい。
  ただし、同法4条1項8号の「著名」との関係を整理する必要はある。
  また、公表してすぐに「著名」となることが想定されるものについても、
  含めることができるかについて検討が必要ではないか。

⇒ 以上からわかるように、
  拡大解釈T:「表示する標章」に「想起する表示」を含めること
  拡大解釈U:「想起させる表示」に俗称『五輪』を含める
  ことについては全く何も議論しないまま、当初からの案である
  拡大解釈T及びUがそのまま最終内容になっています。

■第11回WGで、私が気に留めた委員の発言を取り出してみました
 (「⇒」の後は私のコメントです)。
○本田委員
 ・・・明確かつわかりやすい審査基準にするのが目的だと。
 それにもう1つ、簡潔にということが書いてあるのですが、
 明確にしようと思うと、・・・4条1項6号の案のように
 非常に丁寧に説明する必要があるんですけれども、
 それと簡潔にわかりやすくというところ、
 そのバランスはどのように考えていけばいいのかなと、
 ちょっと素朴な疑問で申しわけないですけど。

⇒ 4条1項6号の説明は第11版3行から第12版3頁に増大しましたが、
  拡大解釈T及びUは、法律の適用範囲を徒に不明確にし、
  立法趣旨に対する拡大解釈の意義を全く説明していない等、
  「明確にしようと」した非常に丁寧な説明と
  本田委員が受け取っていることに違和感があります。

○木村商標審査基準室長
 資料3になります。
 国、地方公共団体等の著名な標章の審査基準について(案)です。
 これは4条1項6号になりますけれども、
 国もしくは地方公共団体もしくはこれらの機関、
 公益に関する団体であって営利を目的としないもの、または
 公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章
 であって著名なものと同一または類似の商標についての規定です。

 現行の審査基準ですけれども、
 本号に該当する例として・・・例示はされておりますけれども、
 そもそも
 公益に関する団体であって営利を目的としないもの
 といった法文上の要件の判断基準、それぞれの具体例、該当例
 について適切な記載がないということでございます。

 改訂の方向性につきましては、本号の条文に則して、
 要件別に判断基準を整理して記載するとともに、
 その該当例についてもあわせて記載してはどうかということで、
 改訂イメージということで3.に書いております。・・・

 (2)「公益に関する団体であって営利を目的としないもの」
 についてですけれども、・・・
 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律により認定を受けた公益社団法人または公益財団法人、
 特別法に基づき設立された社会福祉法人、学校法人、医療法人、宗教法人、特定非営利活動法人、独立行政法人、政党、
 国際オリンピック委員会、日本オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会、日本パラリンピック委員会、それから日本貿易振興機構、
 こういったものがあげられるのではないかということです。

⇒ 「国際オリンピック委員会」及び「国際パラリンピック委員会」だけは、
  我国の法律に基づき設立された法人ではないのですが、
  法文上の要件の判断基準も示されないまま例示されているようにしか
  見えません。玉木正之氏のブログが参考になります↓。
  http://www.tamakimasayuki.com/sport_bn_1.htm

 (3)・・・「公益に関する事業であって営利を目的としないもの」・・・
 例えば地方自治体や地方公営企業等が行う水道事業、交通事業、ガス事業、それから、国や地方自治体が実施する事業、
 国際オリンピック委員会や日本オリンピック委員会が行う競技大会であるオリンピック、
 国際パラリンピック委員会や日本パラリンピック委員会が行う競技大会であるパラリンピック、
 こういったものが該当するのではないか。・・・

 (4)「表示する標章」について・・・この表示する標章の中で、具体的には、
 正式な名称でなくても、例えば略称、俗称、シンボルマークといった
 需要者にその団体等を想起させるような表示もここに含まれる
 ということで書いております。

⇒ 実にさりげなくサラリと説明していますが、
  「需要者にその団体等を想起させるような表示もここに含まれる」
  ことについて、法文上の要件の判断基準など一切説明することなく
  例示だけをするということがなされています。

 具体例ですけれども、
 公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する標章
 の例として、
 国際オリンピック委員会の略称である「IOC」及び
 日本オリンピック委員会の略称である「JOC」、それから、
 公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章の例として、
 国際オリンピック委員会や日本オリンピック委員会が行う競技大会である
 オリンピックを表示する標章としての「オリンピック」及び「OLYMPIC」、
 その俗称としての「『五輪』の文字」、
 そのシンボルマークとしての「五輪をあらわした図形」、
 オリンピックシンボルですけれども、
 こういったものが表示する標章の中に含まれてくるのではないか。

⇒ ここも実にさりげなくサラリと説明していますが、
  そもそも『五輪』は、
  『オリンピック』の俗称であって『OLYMPIC』の俗称とはいえませんし、
  「オリンピックを表示する標章として・・・その俗称としての「『五輪』の文字」が、どのような法文上の要件の判断基準に基づいているのかなど
  一切説明することなく例示だけをしています。

 (5)「著名なもの」ですけれども、・・・

 (6)・・・「同一または類似の商標」についてということですが、
 ここについても、
 類否の判断は、商標の有する外観、称呼及び観念等のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない。
 今回、音とか、色とか新しいタイプの商標が導入されておりますので、
 当然、自治体や国等でも従来の文字、図形以外にも、
 例えば音を使ったりとかいろいろなものがあり得るので、
 「等」という形にさせていただいておりますけれども、
 それぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない。

 この場合、団体の権威、信用の尊重や出所の混同を防いで需要者の利益を保護するという本号の公益保護観点を十分に考慮するということを考えております。

 あとは参考ですけれども、6号の立法趣旨ですけれども、
 ここに書いてありますが、
 「立法趣旨はここに掲げる標章を一私人に独占させることは、
 本号に掲げるものの権威を尊重することや国際信義の上から好ましくないという点にある」。
 8号においても「著名」という言葉を使っておりますけれども、
 その承諾を得た場合でも登録しないものであるから、
 単純な人格権保護の規定ではなく、公益保護の規定として理解されるものであるということで8号の趣旨とは異なるという立法趣旨が書いてあります。

 これに関する裁判例とか審決例ですけれども、
 これは結構オリンピックに関連するものが多いということで、それもあげております。

 それで(イ)の知財高裁、商標法4条1項6号の規定は、
 同号に掲げる団体の公共性に鑑み、その権威を尊重するとともに、
 出所の混同を防いで需要者の利益を保護しようとの趣旨に出たものである、こういうことが示されております。

 それから審判ですけれども、
 これは本願商標がオリンピックのローマ字を含むものと五輪の図形、
 オリンピックシンボルを含むものですが、「OLYMPIC」の文字は
 オリンピック憲章に基づき開催されるオリンピック競技大会を指導する
 国際オリンピック委員会及びその承認のもとに直接事業を運営する
 日本オリンピック委員会が、
 営利を目的としない事業活動を表示する標章であり、
 我が国においても著名であると認められるものといった判断が示されております。

 ・・・「JuniorOriginalConcert」、「J.O.C」の文字が上下2段に含まれているものについて、「J.O.C」の文字について日本オリンピック委員会の略称を表示するものとして広く知られている、こういった判断がなされております。

 あと、審判ですけれども、
 「オリンピアード」、「TheOlympicGames」とか「Photolympics」、「万博」、こういったものについても4条1項6号の適用性が認められている・・・

⇒ 審議会での口頭での説明ですから、
  これらの例示が立法趣旨と法文上の要件の判断基準とどう関係しているかの論理的説明が省かれていますが、
  出席した委員の方々は、この程度の説明で立法趣旨と法文上の要件の判断基準との関係が理解できたのでしょうか?

○木村商標審査基準室長
 ・・・(3)の「公益に関する事業であって営利を目的としないもの」として、
 水道事業、交通事業、ガス事業の下に、国や地方自治体が実施する事業(施策)と書いてありますけれども、当然、これは正式な名称でもありますし、それから、例えば「ゆう活」――「ゆう活」が略称なのかは、
 ちょっとあれですけれども、
 そういうことであれば、当然こちらにも入ってくると思いますので、
 ちょっと書きぶりは検討させていただきます。

⇒ 法文の射程範囲を議論するのに「ちょっとあれですけれども」の説明では、全く理解できません。

○林委員
 今回、4条1項6号を前倒しして検討しているのは
 オリンピックとの関係があると思うのですが、その点で、
 まだ実際に使われていない、著名になっていないけれども、
 一旦、使われれば需要者にオリンピックを想起させるような、
 想起させるであることが明らかなようなもの、
 例えばオリンピックの開催年と開催地を組み合わせたようなもの、
 これを6号で処理するのか、他の条文に振り分けるのかということが気になっています。

 いずれにしても、そういったものを何か制約しなければいけないというのは、国としてオリンピックを招致したときの約束になっていると思いますので、それをどこで担保するのか。

 資料3「国、地方公共団体等の著名な標章の審査基準について(案)の
 「3.商標審査基準改定のイメージ」の(5)「著名なもの」の書きぶり
 からすると、既に著名になっていなければいけないようなので、
 そうすると、
 それは6号の問題にはしないという御判断なのかなとも推測するのですが、その辺はいかがでしょうか。

○木村商標審査基準室長
 一般論で言うと6号に該当しないようなもの、
 例えば著名でないようなもので国とか国際信義に反するようなもの
 については、一般条項ですけれども、
 4条1項7号の適用とかそういったものも考えられますので、
 そこは案件に応じて柔軟に対応していくことでいいのではないかと思います。

○林委員
 はい。あとは、これは6号では無理かとは思うのですが、
 アンブッシュマーケティングのような、オリンピックという言葉は出さないけれども、
 それを完全に想起させるようなものが出てくることに対して、
 これまでの開催国ではそれぞれ対応してきていますので、
 我が国としてどうするかという問題もあります。

 ここで御質問することではないことかもしれないんですけれども、
 関連する質問であります。

 そういった意味で、(6)の「同一または類似の商標」にも、先ほどと同様に、「取引の実情」、「社会通念上の同一性」という用語も入れて判断する
 ということがわかるようにしておいたほうがいいのではないかと思っております。

⇒ 林委員の意見は比較的真っ当と思いますが、
  何故「想起させる」という主観的要件の不明確性について
  疑問をもたないのか不思議です。

○田中委員
 今の関連で一言だけ申し上げますと、
 商標実務では困った場合には7号が出てくるのですけれども、
 全体の法体系から見ても、商標の分野では公序良俗違反が多いと言われておりますので、
 7号を余り振り回すのはどうかという感じがします。

 解釈上、運用上可能であれば、できるだけ個別の条項で処理すべきですので、6号の適用が可能であれば、
 なるべくそちらのほうに誘導すればよろしいのだろうと思います。

⇒ 委員方は、「表示する標章」に『五輪』が含まれることを前提に話をしているようですが、
  IOCが『五輪』を出願したときに、『五輪』の登録性について、
  従来の法解釈による枠組みで説明できない(だから拡大解釈の必要が生じた)ことについて、きちんと議論すべきと思います。

  そうすると、『五輪』の登録性については商標法4条1項7号(公序良俗違反)の適用に関する議論が不可避であることが理解できるはずなので、
  「7号を余り振り回すのはどうかという感じがします」
  などという軽い話は出ないと思うのです。

******

 以上のように、第11回、第12回WGの議論では、
 木村商標審査基準室長の当初提示した商標法4条1項6号に関する
 審査基準改訂案は既定の内容のような取扱いで、
 ・「想起される」の不明確性、
 ・立法趣旨の観点からの『五輪』の意義、
 ・商標法4条2項との関係、
 などの極めて重要な論点が、何も議論されないまま、
 当所改定案がそのまま最終内容になっています。

 最終内容に関するパブリックコメントでも、
 商標法4条1項6号については何も指摘されていません。

 これでは、到底妥当とは思えない拡大解釈T及びUを入れてしまうような
 間違っているかもしれない商標審査基準の改訂がなされることは、
 必然であったかと思われます。
posted by Dausuke SHIBA at 12:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 五輪
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