2018年02月11日

北海道新聞に掲載されたオリンピックの知財管理に関する私のコメント

 一昨年と昨年に、私が弁理士会誌『パテント』に投稿した、
 東京オリンピックのロゴ等の知財管理に関する論文に興味を持たれた
 北海道新聞の佐藤記者が、私の事務所に取材訪問をしてくれました。

 平昌オリンピックが開催に際し、関係者の善意の催しに対して、
 JOCがアンブッシュマーケティング防止の観点から、
 外部への報道を制限する旨の申し入れをしたことに対して、
 意見を聞かせて欲しいとの趣旨でした。

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 2020年開催予定の東京オリンピックが近づくにつれ、
 JOCがアンブッシュマーケティング防止の観点から、
 オリンピックを連想させるJOCの許可なき活動に対して、
 差止警告をすることが目立ってきました。

 「何の権利があってそのようなことができるのだろうか?」
 というのが、知財専門家として最初に感じた素朴な疑問で、
 その疑問に自答するために、論文2件を『パテント』に投稿しています。

●第1論文:『公益性の観点からみた東京オリンピックのロゴ等の知財管理』
 2016年6月号
https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/201606/jpaapatent201606_061-073.pdf
 IOC、JOC、組織委員会による、
 オリンピックのイメージ活用に対する差止め警告の法的根拠、及び、
 オリンピックのロゴ等の商標出願の在り方を中心にした論考です。

●第2論文:『オリンピック憲章の資産権利規則の試訳に基づく論考』
 2017年8月号
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/2881
 オリンピック憲章の知財関連規則の翻訳の問題を整理した上で、
 第1論文を補足しました。

●現在、開催都市契約の観点から、第3論文を執筆中ですが、
 本業が立て込んで、遅々として進みません。
 3月中には何とか『パテント』に投稿したいと思っています。

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 佐藤記者には、知財制度の基礎を交えながら
 第1論文及び第2論文ならびに第3論文のさわりについて、
 1時間ほど解説を聞いていただきました。

 佐藤記者は、私の解説を的確に把握され、
 今回の平昌オリンピックに関するJOCの行動とその影響について、
 非常にわかりやすくまとめられ、
 私のコメントも簡潔に要約してくれています↓。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/162428

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 巨大組織が一般市民・団体と対立する構図が、近年顕在化しており、
 ・NHKの受信契約問題
 ・JASRACの著作権料徴収問題
 ・JOCのオリンピックイメージ無許諾使用差止警告問題
 などは、巨大組織の拠って立つビジネスモデルが大きく揺らいでいる
 という点で、外形的な対立の構図がよく似ています。

 オリンピックの場合は、以下が揺らいでいることに尽きます。
(1)オリンピック主義(Olympism)の根幹理念を崩壊させかねない
   果てしなきドーピングの蔓延。
(2)オリンピック主義の具体化物であるオリンピック運動会
   (The Olympic Games)の終焉を招きかねない運動会費用の
   果てしなき膨張。

 何故これらが深刻になるばかりで改善する方向に向かわないかは、
 開催都市契約の構造的問題として端的に表れています。

 オリンピックの価値に対する疑いは世界的に広がっていると思いますが、
 このまま放っておくと、10年後には、
 オリンピックは実質的に終焉しているのではないでしょうか。

 IOCの自業自得の要素は大きいのですが、
 開催都市契約の有り方とその実行過程をみると、
 「我国」及び「この問題について議論しない我国の構成員」の責任
 も相当に大きいように思っています
 (記事のコメント中の「議論」は上記の意味で使用しています)。

 こんなことでは、草場の陰でクーベルタン男爵が嘆くことでしょう。

******

 詳細は、3月中に投稿予定の私の第3論文で論じてみたいと思っています
 (こうでも口走らないことには、論文がズルズルと先延ばしになるので、
  ブログで全世界に宣言しておきます)。
posted by Dausuke SHIBA at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 特許
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